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2006/06/27

日本代表ジーコ監督 退任会見全文(2/3)

日本代表ジーコ監督 退任会見全文(2/3)
2006年06月26日


■体格差の壁を越えることができなった

今大会で感じたのは、(相手チームとの)体格差だった。フィジカルの強い相手とやるときに、90分間通して相手の攻撃に耐えられるようにならなければ。

ただし、これは個人個人の問題というより、若い時から鍛える必要がある問題だ。そういう環境がなかった(今の)代表の選手たちは彼らなりに精いっぱいやったが、その体格差の壁を越えることができなかった。
世界と対等に戦うためには、そういう部分もこれから考えていかなければならないと思う。

また、これはスポーツ医学的な問題だが、代表チームと各クラブが協力してやってもらいたいことがある。日本の選手は、筋肉の損傷であるとか、骨折から復帰する日数があまりにもかかり過ぎるという点だ。

これは日本人が筋肉の質で劣っているという問題ではない。たとえば、今回のW杯でも試合が終わって移動するときに、多くの日本の選手はアイシングをしながらバスに乗り込んでいたが、ほかのチームではそういったシーンは見られなかった。

彼らはどういう治療をしているのか、けがに対する予防やケアをどうしているのか。食文化の違いなどもあるが、もう少しそういった面を突き詰めて、世界の最先端の国と接触を持ちながら、交流することが必要になってくると思う。

体格で勝る相手と試合で当たった時、こちらがけがを抱えた状態でいると、満足な状態で戦う以上にハンディを生む。代表で調整する時間は非常に短いわけで、それぞれのクラブでそういうことも意見交換して、より良いものを作っていってもらいたい。

上背がある相手と対戦する際、最初は相手も足元で回してくるが、どうしても分が悪くなってくると中盤を省略する形でロングボールを放り込んでくる。
そして、特に欧州の国では、190センチ以上の上背を持った攻撃陣がいる。実際にその相手と勝ち点3を奪い合う真剣勝負をやったときに、90分間持ちこたえることができない。

オーストラリア戦が終わった後に宮本と話をしたが、「1試合とは思えないほど疲れた」と言っていた。というのも、相手がロングボールを入れてきたときに体を当てたり、相手のバランスを崩すためにジャンプが必要になるが、それを異常な回数繰り返したためにふくらはぎに負担がかかって、尋常ではない疲れとなったようだ。

世界のサッカーは、日本に対して足元でかなわなければ、絶対に体格差で上回ろうという戦術を取ってくるはず。こういった面の予防や、ジャンプに必要な筋力を鍛えることが必要だ。

かつてバレーボール界で起こったことだが、世界を制した日本のアジリティー(機敏さ)に対して外国選手がパワーで対抗し、日本の成績が落ちるというようなことがあった。
このようなことが日本のサッカーでは起きてほしくない。

フィジカルを鍛えていくことは、日本の選手にとって無理ではないと思う。私も何十年とブラジル代表で見てきたが、海外に出て長くプレーしている選手、例えばロナウジーニョやカカらはブラジルにいた時は華奢(きゃしゃ)だったが、それぞれのクラブで鍛えて見違えるようになった。
彼らも(もともとは)日本人と同じような体格だったわけだから、各クラブの鍛え方次第で日本人も確実に進歩すると思う。これは短い期間しか集まることのできない代表ではできないので、各クラブで研究してもらえればと思う。

アジアを見ても中国には非常に体格のいい選手が多いし、今後はオーストラリアもアジアの枠で出場することになる。また、旧ソ連から独立した国々もある。
彼らがさらに鍛えて予選に臨んでくるわけで、日本はこうした国々を打ち破ってW杯に出場するという難関が待ち受けている。
ぜひ、皆さんの力でこの問題に対応してほしい。

こうしたことを言うのは、決して今大会の(フィジカルで敗れたという)言い訳ではない。パワープレーだけで勝負が決まってしまうこの状況は、これからも続いていくと思う。
私はこの状況を快く思ってはいないが、4年間にわたり日本の選手たちと仕事をしていく中で、選手と監督以上の友情関係を築いたサッカー界のかわいい後輩たちが、身に付けた技術を生かせずに体格だけで負けてしまう、あるいは勝ち切れないという結果が続くことのないように、心から祈っている。

日本のお手本としては、台頭しているアフリカ勢が挙げられる。
今大会はガーナが、前回大会ではセネガルがいい例だ。一時期、アフリカの国々は上背はあったが体格的には弱かったために、世界のレベルに達することができないことがあった。
しかし、彼らも欧州に出るようになって、あるいは自国に専門家を招くことで、アフリカサッカーの存在感は増した。日本もそういった努力によって、自分たちの良さが生かせる時が来ると思うし、そうなってほしい。



■チャンスがあれば欧州で監督をしたい

私の日本での15年間の歴史、私と日本との直接的な関係はここで一度途切れるが、将来、また一緒に仕事ができればと考えている。
先日、選手たちには「自分ができることであれば、世界のどこにいようと何でもするから」と話した。これはうそ偽りない気持ちで、私の経験を、ぜひ(今後に)生かしてもらいたい。

最後になるが、自分を信じて温かく見守ってくれた皆さんとの関係は、これからも続けていきたいし、いつでも連絡をもらえればと思う。
当面はリオデジャネイロに帰って仕事をすることになる。チャンスがあれば、欧州で監督をしたいという気持ちもある。連絡をもらえればどこにいても、できる限りのことをさせてもらうつもりだ。長きにわたり、本当にありがとうございました。


<続く>

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